いたばしTIMESのコラム企画「オレに書かせろ!」

板橋の”食”に関わる人たちが、その人のスタイルと言葉でお店のこと、板橋のこと、自分のことを発信します。

◇これまでの記事
【オレに書かせろ!vol.1】板橋3丁目食堂 永瀬オーナー 
【オレに書かせろ!vol.2】板橋3丁目食堂のしくじり先生 -序章-
【オレに書かせろ!vol.3】板橋3丁目食堂のしくじり先生 第1章 自己分析しなかった失敗
【オレに書かせろ!vol.4】板橋3丁目食堂のしくじり先生 第2章 TVに映っちゃった失敗



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こんにちは。板橋3丁目食堂 永瀬です。

皆さんは働いている目的が分からなくなった時、
どのように自分と向き合っていますか?

バタバタしてくると優先順位がつけられず、
大切な事に気づかないケースってありませんか?

今回はそんな類のお話。
個人事業を経て法人となった時、
どのような弊害があり目的を見失ったのかを
主観ではありますが皆さんに共有していきたいと思います。



会社が倒産!?



ちょっと勘違いされそうですが、
しっかり健在なのであしからず...。
今年で4期目(創業からは7年目)を向かえる会社です。

失敗の流れをざっくりまとめるとこんな感じです。
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個人事業から法人にして「3店舗+α」を運営

スタッフが0人

店舗撤退

現在は本店のみ営業しリトライ中
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こんな事をやりたくて会社設立しました



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「ユニークで住む人が安心で便利な街」
「世界中の人が行ってみたくなる街」


シンプルにこんな街があったらいいなあ
という想いで都市開発や行政がおこなう
スケールの大きいまちづくりでは無く

しいて言えば、

「個人で手を取りあいながらできる範囲」
そんな仕組みをつくってみたいと思いました。

とはいえ目的の為には、
何かしらの事業にしなくてはなりません。
そこでこんな感じの流れで実現させようと、
挑戦する事にしました。


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自分の得意な事、好きな事。
本業の飲食業で利益体制を整えて、
地域にとって有益な場づくりに還元したり、
街に既にあるモノに価値をつけたり。


そんな事業計画を立て、
2010年に板橋3丁目食堂を創業し、4年間の紆余曲折はありましたが
地盤ができた2014年に会社を設立しました。



会社として具体的に進んだ事・進まなかった事



☑本業・飲食業の収益を最大化
☑商店街に無い業態をつくる

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☑地域施設への支援

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板橋区放課後対策事業「あいキッズ」や
子育て支援センター、その他福祉施設祭事などに
卸価格での提供。後方支援でのサービスをトライアルで走らせました。


☑3店舗規模の収益をもって
様々なコミュニティが生まれる場所を創る


パターンA)住んでいる人が必要なコミュニティ空間・商店を創る

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(商店に限らず生活の中で魅力に感じる場所)

コワーキングスペース・ネオ公民館・こども食堂・育児サロン
・街のフリースペース・懐石料理屋(食育)・キオスク・ブックカフェ
・チャレンジショップ、
ミニシアター映画館(シニア用・若者用)・寄席・
・美術館・ローカルラジオ局・レンタサイクル・街の写真館
・その他街に無い飲食店・縁側区画・etc・・・



パターンB)街の歴史を体感できる場所を創る

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(宿場街風のゲストハウス・観光センター併設なりきり大名行列衣装貸出・
文化交流など外からみて魅力がわかりやすい場所)
※2010年策案なのでちょい古い考えも入っていますが。



☑板橋の情報発信ができるようにする

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着手できた事できなかった事ありましたが、
こんな流れが以前の記事で書いた「33」という
店舗数に込められています。

単にお店をたくさんつくる訳では無く、
様々な状況、立場の人がいる事を想定すると
入口は多い方が利便性が高い。

狭いエリアに33もの「場」があれば誰にとっても
必要な場は見つかりそうですよね。

ちなみに僕は賑やかな集まりが苦手です。
そんな性格もあり"様々"という発想が生まれてくるのかもしれません。
でも賑やかな人達と繋がりたいとも思います。

なんにせよ、
人が集まると面白い事は何かしら生まれます。

例えば、
困っている人達が集まれば問題解決の
具体的な方法が生まれたり、
ユニークで面白い人が集まれば
「街がおもしろくなる͡コト」が生まれたり。

「人と人」の輪ができ育てる場であれば、
駐車場や公園、ベンチだけでも
「場」のひとつになるイメージです。


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入口は多く・出口はひとつ



賑やかなイベントが好きな人
賑やかな酒場イベントが好きな人
賑やかな場所が苦手な人
アートが好きな人
カフェが好きな人
読書が好きな人
黙々と何かをつくるのが好きな人
色々な不便を感じている人
誰かに何かを相談したい人
シニアだけどまだまだ元気な人
シニアの居場所が喫茶店だけでは物足りない人
孤育になってしまっている人

.
.
.
.
.
書ききれません...。
書ききれないくらい色んな人がいるので、
様々な入口から選択できて、
そこのコミュニティで何かが生まれ、
各々のコミュニティの出口は同じ場所。
最終的には全ての人が繋がれる仕組み。

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エンターテイメントや他所から
借りてきたようなイベントで
街を盛り上げ魅力的に魅せるのでは無くて、
徹底的に住みやすい街。

街に住んでいる人がそれぞれの選択できる
コミュニティがある街。
住んでいる人がみんな笑顔な街。

そんな風景が「世界中の人が行ってみたい街」
となるような気がします。

たぶん皆さんもぼんやり、
「こんなのあったらそりゃいいや」
と思う気がします。僕もその中の一人なので。

板橋生まれ板橋育ち、
板橋で商売をして住民でもあり。
プレイヤーとしては街に拠点を構えている方が効率的。
そんなきっかけで
裏方の一人をやってみたくなりました。



なんで飲食店がまちづくりなの?



"ユニークな小さな点は集合体でみると唯一無二"

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「まちづくり」ってスケールでかくない!?
よくそんな質問をされますが決して
スケールが大きいとは思っていません。

板橋で長らく住んでいると、
街にどんな人が住んでいるか観えてきて、
さらに商売をしていると、
どのような層がいて、
どのような人が困っているのかなんて事も、
自分のフィルターではありますが
観えてきてしまいます。

ローカル立地では、
「お店に来てくれる方=街の人」

レストラン、カフェ、飲み屋は面白くて、
その店がある事によって、
人口が増えたりはしませんが、
生活同線上の人の流れを"少し"変える力はあります。
もちろん生活サイクルやスタイルも
"少し"変える力もある。

都市開発企業や行政がおこなう事はスケールが大きく、
当然、住んでいる人達の多くに直接影響し
劇的な変化もおこります。

半面、個人でやる事は"少し"...。なので、
住んでいる人の多くにはさほど影響はありません。
影響しないならやる意味ないような気もしますが。

でも...。

この「少し」の変化を体感すると
本当に面白くなってきます。

たぶんこれは皆さんが共通して
感じる事だと思うのですが、
面白いと思うあの街やこの街は
きっとそんな感じですよね。

小さな面白い店が狭い地域に密集している街は、
かなり個性的な街になってますよね。

こんな感じで、
「店づくり(小さな点)はまちづくり(集合体)」
という感覚でお店創りをしている節があります。
(飲食店ではこういう方々がきっと多いと思います)



焦りが原因で「人集め」が目的の会社設立に



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前置き長くなりました...。
本題、失敗のお話に入ります。

構想だけなら誰にでもつくれます。
絵に描いた餅にならないように、
実際に具現化するには先ずは行動。

一人でやりきるキャパを超えてきたので
兎にも角にも「人」が必要となってきました。

「個人事業」のままでも人は集められますが、
やはり実現する為には仲間が必要。
その為には沢山の人に興味を持ってもらおうと、
福利厚生がしっかりとした
法人として活動した方が良いと思いました。

何故、人集めを急いだかといえば
こんな「焦り」がありました。

街の変化のスピードが急激に変わってきた事。

例えばこんな形で...。


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ずいぶん前から噂は聞いていただけにさらに。
気づくとマンション、コンビニ。

昔からある建物はバンバン倒される。
めちゃくちゃ便利ですが、

やっぱりバランスってあるよなあと...。
便利だけど、どこか不便。

例えばマンションになるにしても中にあるものが、
既定路線では無く
「面白い場」「ある少数の層に必要な場」
こんな個性的な場所をつくらないと...。
どこもかしこも同じような街並みでは、

「ユニークで住む人が安心で便利な街」
「世界中の人が行ってみたくなる街」
には到底なりません。

早く力をつけて実現していかないと、
小さい頃から通っていた、
あの場所も、その場所も
無くなって間に合わないぞー。
こんな焦りを一人で感じ先ずは会社にして人集め!
そんな勢いです。


が...。


ここがひとつの失敗ポイント。

振り返ってよくよく考えてみると、
「人集めがしたくて法人成り」にした訳です。
間違えではありませんが僕のケースでは順番が逆。

構想に共感してくれる人を地道に集めるという、
発想がもはやこの時点で抜けている...。

想いが同じ人をみつけるには、
個人事業か法人かはあまり大差ありません。

「小さく生んで大きく育てる」
鉄則がありますよね...。



周りに気を使いすぎて目的を見失った



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さらに失敗した要因のひとつ。

「気を使いすぎた事」

規模の小さな会社では、個人事業でも会社でも、
僕のやること「業務」はなんら変わりません。
税金や信用度、自分の給与形態は変わりますが
これもバランスが変わるだけ。

店舗を増やすにおいて「信用」という面では
色々な企業が話を聞いてくれるようになり、
リアルに重要な資金調達の面でも、
個人で活動するよりできる事が増えてきました。

では何が弊害になったかというと、
僕の中で難しかったのが「責任意識のバランス」


当たり前ですが会社になると意識が変わりました。
今までは自分の好きな事、
やりたい事を「ダダダー」とやり、
それに共感した人と一緒に働く。

お客さんが楽しめるような事を
自分自身がひたすら楽しんで働く。
それしか考えていませんでした。

会社にした頃から入社希望者が続々と現れます。
1店舗~2店舗体制になった間に集中して。

そうすると意識が一気に、

「社員に対してどう気持ちよく働いてもらうか」
「社員に対してどんな役に立てるか」
「会社に対して役に立つことをしよう」


こんな意識になり始めました。

こじんまりと家族のように「キャッキャ」とやっていた頃と比べ
社員の人数が多くなってくるとさらに
襟が引き締まります。

「みんなの生活」
「みんなのやり甲斐」


この人は何が好きで何がやりたいんだろう。
どんなフィールドがいいんだろう。
それしか考えなくなります。

その為にもっと事業を大きくして、
みんなのもらえる給与を増やして
有給もバンバンとれるようにして
生活が楽しくできるようにしたい。
本気でこんな事を毎日考え出しました。

これは当然に社長のあるべき姿で
やらなければいけない事です。

でも、それに注力していくと、
そもそもの会社の目的を後回しに。
もはや消していた感じです。



無理に整えた福利厚生



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設立して初めに想ったのが、

「限りなくホワイトで!!」

これには過去の苦い経験があります。
レストランで勤めていた頃の典型的な職人体制。
ながーい労働時間。

世は「ブラック企業」という言葉すらなかった
時代に感じたあれやこれ。

せっかく会社を作るなら、
自分が「嫌」に感じていた事をやらない。
そんな会社を作ろう。


「週休2日」
会社勤めの皆さんなら
「当たり前じゃん」と思いでしょうが
飲食店の小さな頃は中々そういう体制の
ところは少ないのが現状です。
個人店の時は隔週であったり。

でもどちらにせよこれは時代錯誤。
これでは人は集まらない。
ここを一気に整えます。

「社会保険」
安心できる福利厚生の第一歩。
零細企業には重くのしかかる事ですが、
これを重いと言っている企業には
「まちづくり」は到底無理。
みんなに安心して働いてもらえるのが先ずは優先。

それぞれどのように変えたかといえば...。

パワープレー!!

「自分が給与を下げ、休みを減らし、
誰よりも実務に稼動する」
(かなりダメな判断ですよね)

体制を先に無理矢理作りました。
3店舗が形になるまでと決めていたので
当時は「無理」とは感じていなかったようですが...。


全てに責任があるのは当たり前ですが、
少しの無理が生じると、
段々と自分に余裕が持てなくなり
バランスが取れなくなる。

第一章の「自己分析」でも触れているのですが
自分の「できる事、できない事」を
把握しているつもりでしたが全てが混合し、
「全て自分でやらなきゃならない」という
意識になり始めた頃から
何をやってもうまくいかない
「負のスパイラル」に陥ります。



止まらない負のスパイラル



負のスパイラルに陥った流れがあります。

「周りに気を使いすぎ自分の目的を見失った事」


〇個人事業で運営していた時の意識

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〇会社設立後の意識

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意識下でこんなフローが
生まれていたように思います。



失敗の要因は?



"周りに気を使いすぎ目的を見失った事"

会社という枠にとらわれて、
創業における壁を乗り越えられない状態がありました。
目的をぶらしたら何にも意味がありませんよね。



みんなの力を借りて進めよう



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そして一番大事なことも抜けていました。
「周りに頼る」という事。

相手の「負担」を気にかけて自身の負担を増やし、
無理をする構図は何も生まないし、
負のスパイラルがおきるきっかけになる事を骨身にしみて経験しました。

得意でなければ、それを得意な仲間にやってもらう。
とってもシンプルな事です。

仲間がいるにも関わらず
なるべく迷惑かけないように、
負担が大きくなると辞めちゃうんじゃないか...。

ブラック企業になりたくない...。
というプレッシャーとか。

そんな心配を「会社・社長」という
形にこだわり一人でやりきろうとした結果、
肝心な所で遠慮をしながら黙々と一人で
全部やりきろうというスタンスになりました。
これでは周りも面白い訳ありませんよね。

「あんた何がやりたいの!?」という事になります。

当時はそんな意識無いんですけどね。
振り返ればわかる簡単な事も余裕が無い渦中では、
気づかない事だらけ。
視野が狭くなっていたようです。

そんな中、
えぐられる様な悔しい言葉も投げられた時、
「誰かの為に」が「誰の為にもなっていない」
という状況を理解しました。
目的をぶらしていた事も。

そして3店舗の事業の芽は多く残しながらも、
本店の板橋3丁目食堂を含め全て閉店し
再出発をする決断を2016年8月にしました。
そこから閉店へ向け準備が始まりました。



まとめ



一連で感じたことは、
「自分が誰かの為に」という一人称の意識は
高いモチベーションを生む半面、
ひとつ掛け違えると目的を見失うという事。

先ずは「自分の想い」をゼロから丁寧に説明し、
共感してもらう事が先。
共感してもらえなそうならそれまで。

それを説明せずに後回しにしていると、
例え「誰かの為」であっても
最悪の結果になってしまいます。
僕の場合は店舗が無くなるほどの事態にまでに。

常に「誰と一緒に、何をするか」
というスタンスでいれば
今回の事は回避できたかもしれません。

ただ、
この失敗が後に思いがけない展開にもなります。

という事で次回は、
「第4章  サンサン仲宿・板橋デリカテッセンの開店~閉店」
という題目で、

新規2店舗の立ち上げから撤退までに出逢った、
「街の人、商店の人、お客さん、板橋の事」
板橋3丁目食堂を閉店しなかった理由。

そして最後は「失敗から学んだ事」という題目で。

結果的には2店舗を閉店する失敗をしましたが、
そこから色々な方達と繋がりが生まれて、
色んなモノやコトに出逢い進展したあれやこれ。
「いたばしTIMES」という媒体で
書かせて頂いた理由。

「街が面白く」なりそうな次の展開を
皆さんに共有して「完」とさせて頂きます。

それではまた次回お楽しみに。



※永瀬オーナーの編集後記は店舗Facebookページでも綴られています

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板橋3丁目食堂

板橋区板橋3-5-1 リビオタワー105

営業時間: 11:00~14:30、17:00~22:00

定休日: 火曜
※暫くの間ランチ営業は(月・金・土・日)のみとなります。

席数:24席

喫煙・禁煙: 完全禁煙

オフィシャルサイトはこちら 




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